浦和すずのきクリニック
精神科・心療内科
リラクゼーションとは、一般的には「息抜き・くつろぎ・緊張を解くこと」と定義されます。よく「ストレスがたまっている」という言葉を用いますが、この「ストレスがたまっている」状態とは間逆の状態を「リラックス」と表現します。リラックスしている時、身体では全身性の交感神経活動の低下、副交感神経活動の亢進、ストレスホルモンの低下、免疫能の増強などが起こっています。このリラックスした状態を目指し、意図的に身体に働きかける方法をリラクゼーションといいます。カウンセリングにおいては介入法の一つとして、効果の立証されたリラクゼーションを取り入れることがあります。
ラクゼーションにはさまざまな種類がありますが、ここでは代表的な3つの方法を紹介します。
呼吸法
鼻からゆっくりと息を吸い、口からゆっくりと吐くという呼吸の方法です。一般的には深呼吸として知られているものです。「深呼吸してもあまりリラックスしなかった」という経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。このような場合には、気づかないうちに肩に力が入り、胸式呼吸(浅い呼吸)になっていることがあります。緊張しているときにうまく呼吸法を実施することは難しいので、実際の緊張場面で呼吸法を用いる前にきちんと方法を習得しておくことが必要です。
筋弛緩法
筋肉を思い切り緊張させた後で力を抜くと、より「リラックスした状態」を自覚できるのではないでしょうか?例えば、手のひらにぎゅっと力を入れてしばらく待ち、急にパッと力を抜いて手のひらが開くと、血管がジワーッと広がっているように感じたり、指先がじんわりと温かくなったりすることを感じることができませんか?筋弛緩法は基本的にはこの原理を用いて、さまざまな身体の部位をリラックスした状態にする方法です。
自律訓練法
19世紀末に、フォークトは催眠状態そのものに心身の健康を促進する治療的効果があることを発見しました。その後、シュルツが「気持ちが落ち着いている」といった暗示文(公式)を頭の中で無心に繰り返すことによって、催眠状態に類似した心身の弛緩状態を作り出す方法を考案しました。これが自律訓練法です。自律訓練法では、定められた公式にしたがって注意の焦点を身体のさまざまな部位へ移動させることで、交感神経系優位な状態から副交感神経系優位な状態へ導きます。副交感神経系が優位になるということは、体が落ち着いた状態になるということです。公式は第6 公式まであり、練習・習得しながら徐々に進んでいきます。最後の公式まで行かなくても、リラックスした状態が得られることもあります。また、自律訓練法には「消去動作」というものがセットになっています。自律訓練法終了時には、必ずこの消去動作(手の開閉、腕の屈伸、全身の伸び)を行い、「リラクゼーションが終了したよ。日常の活動に戻るよ。」と体に教えてあげることが必要です。
日常の緊張度を安定させる目的で用いる
カウンセリングでは、まず日常的に不安や緊張感の高い人に対して、緊張感を全体的に下げるために、リラクゼーション法を用いることがあります。毎朝晩など、定期的にリラクゼーションを行います。
不安時の緊張を鎮める目的で用いる
緊張した場面において緊張を下げるために、リラクゼーション法を用いることがあります。この場合は、リラクゼーション法を用いて十分にリラックスした状態が得られるように練習しておくことが必要です。
禁忌に注意しましょう
リラクゼーション法には、それぞれ禁忌(悪影響を及ぼす可能性があるためにリラクゼーション法を用いてはならない場合)があります。特に自律訓練法については、禁忌が明らかになっていますので、ご使用の際には専門家に相談して行うようにしましょう。
場所・服装は落ち着けるものを
リラクゼーションは、できるだけ落ち着ける、比較的静かな場所で行いましょう。体を締め付けるようなもの(時計やベルトなど)は外したほうが望ましいです。
継続的に練習しましょう
リラクゼーション法は、やり方を覚えて実施すればすぐに効果が出る、というものではありません。特に緊張した場面で用いる場合には、筋肉が緊張して、いつもどおりにできないことがあります。事前に方法を習得するための練習が必要です。実施する人や方法によっても異なりますが、大体3週間の練習が必要だと言われています。
できない点にばかり集中しないようにしましょう
リラクゼーションを練習する人によく見られるのが、「リラックスした感じが得られない」、「正しいやり方でできない」という訴えです。確かに、正しいやり方で練習することは大切ですし、またすぐに効果を得たいというお気持ちもわかります。しかし、それらの考えから力みすぎることによって、リラックスした状態への妨げにならないよう注意しましょう。